藤田敏八監督映画音楽のプレイリスト(1)
「赤い鳥逃げた?」サントラLPの想い出
1973年、初めて「赤い鳥逃げた?」を見たあと、レコード店でサントラ盤LPを見つけました。少ない小遣いをはたいて買おうと思ったのだけれど、市川崑監督の「股旅」(1973年4月公開)のサントラ盤を同じコーナーで見つけ、迷った末「股旅」のLPを買いました。当時はビデオなどなかったので、劇中のセリフ(冒頭のユーモラスな仁義のやり取り)をもう一度聞きたかったのです。
その後何年も「赤い鳥逃げた?」も買っておけば良かったと後悔しましたが、2007年にソフトロック(喫茶ロック)ブームにのって樋口康雄さん(愛称ピコ)が見直され、「赤い鳥逃げた?」もCD化されました。私も何とか入手することができ、長年の後悔を晴らすことができました。
※中古がたまにアマゾンマーケットプレイスに出ます。
藤田敏八映画主題歌のプレイリスト
もちろん「赤い鳥逃げた?」の他にも藤田敏八映画で心に残る曲はたくさんあります。
1.「C子の歌」梶芽衣子~「野良猫ロックワイルドジャンボ」より
これは、野良猫ロックワイルドジャンボの劇中で梶芽衣子が歌う、胸にしみるいい曲です。「日活映画音楽集・監督シリーズ 藤田敏八」に収録されていますが、入手は困難なようです。YouTubeで探してみましょう。
2.「御意見無用」モップス~「野良猫ロック暴走集団’71」より
モップスがシングルリリースしたものとは、歌詞が異なり英語で歌っています。これも「日活映画音楽・・・」に収録されています。
3.「八月の濡れた砂」石川セリ
深夜放送で流れ藤田敏八映画を一躍有名にした曲。あのエンドロールの海とこの曲こそ藤田敏八映画を代表するイメージとなりました。
4.「赤い鳥逃げた?」安田南 「愛情砂漠」原田芳雄~「赤い鳥逃げた?」より
この主題歌、挿入歌、どちらも作曲・樋口康雄さん、作詞・福田みずほさん。特に詞の方はシナリオ中にもその歌詞が書かれており、映画の重要な要素だったのでしょう。映画では安田南さんが歌う「愛情砂漠」も印象的なのですが、前述のサントラCDには安田バージョンは収録されていません。残念。安田南さんはジャズ・シンガーですが、オリジナル・アルバム「Some Feeling」もなかなか良いです。
5.「修羅の花」梶芽衣子~修羅雪姫より
タランティーノ監督のおかげで一躍世界中で有名になりましたね。藤田敏八監督が生きていて「キル・ビル」を見たらどう思ったでしょう。照れくさそうに「まあ、いいんじゃないか」という感じではないでしょうか。最近、アルゼンチンのカンデ・イ・パウロと梶芽衣子さんの共演での配信が話題になり、その人気を再確認しました。
6.「赤ちょうちん」かぐや姫
おなじみ「四畳半フォーク」の代表作。東宝に「神田川」の映画化権を取られた代わりにかぐや姫の次回作「赤ちょうちん」と次々回作「妹」の映画化権を得たわけですね。音楽は石川鷹彦さん。前述の「日活映画音楽・・・」には、かぐや姫の歌う主題歌は収録されていませんが、インストの「神田川」が収録されています。ヒロインが飛び込んで自殺をしようとした浅く汚いどぶ川のシーンに流れ、劇場で笑いが起きました。
7.「妹」かぐや姫
曲がヒットするかどうか分からないのに「赤ちょうちん」のバーターで映画権を獲得した映画「妹」の主題歌。「赤ちょうちん」は主題歌のイメージを活かした抒情的な映画でしたが、この「妹」はミステリアスで奇妙な映画。映画音楽は木田高介さん。「赤ちょうちん」の石川鷹彦さん同様、70年代のフォークソングを支えた方ですね。